大阪教育大学・水野治久先生、敬愛大学・阿部学先生、立正大学・永井智先生、大阪教育大学・四辻伸吾先生そしてスタンドバイが共同開発した、小学校5年生向けの教材です。子どもたちは、日常の中で小さな「困りごと」や「どうしたらいいかわからない」場面に出会います。
この教材では、そうしたときに自分の気持ちに気づき、助けを求める方法を考え、行動に移す力を育てます。授業を通して、子どもたちは「SOSを出すことは自分を大切にする行動」であると理解し、信頼できる人に気持ちを伝え、相談する勇気を身につけていきます。
教材の概要
この教材は、助けを求める心と行動(援助要請)の心理学理論に基づいて作成された動画教材です。対象は小学校5年生です。算数の「解き方プリント」を忘れて宿題ができない男の子、そして仲良くしていた友人と少しギクシャクしてしまった女の子という、身近な二つのエピソードを題材にしています。
これらを通して、「困ったときにどうすればよいか」「どんな勇気や工夫が必要か」を考え、子どもたちが自分自身のSOSを出す力を育てられるように設計されています。
本教材は45分間の授業で活用でき、詳細な指導案は以下の書籍に紹介されています。
水野 治久・本田 真大・永井 智編著・木村真人・飯田敏晴・四辻 伸吾著 2025
援助要請の心理学に基づく 実践 SOSの出し方教育 金子書房
https://www.kanekoshobo.co.jp/book/b668341.html

授業用動画教材「こんなときどうする?」シリーズ
宿題が難しくてこまったとき
サッカーが好きな小学校5年生のハルトさんは、学校生活を楽しんでいます。今日は珍しく得意科目の算数の宿題に苦労しています。そんなときに弟からゲームの誘いが…果たしてハルトさんは宿題を終わらせることができるでしょうか。

© TAKA
友だちが何も言ってくれないとき
読者やアニメが好きな小学校5年生のマナミさんは、近所のハルカさんと一緒に登下校しています。しかし2学期の運動会が終わったあたりから、マナミさんはハルカさんとの関係に悩んでいます。ハルカさんは他のお友達と話してばかりいます。

© TAKA
教員研修用動画 概要
生徒指導提要(改訂版、文部科学省、2022)および学校心理学の視点から効果的なSOSの受け止め方を学校現場の視点で解説致しました。
動画は以下二つあり、それぞれ前編約9分、後編約9分です。
- 教員研修動画1: 学校はいじめ不登校にどう向き合えばよいのか
- 教員研修動画2: 生徒指導提要を踏まえた子どものSOSの受け止め方
本動画は、JSPS科学研究費助成事業(課題番号:20K03334)の助成を受けて作成しました。
開発者紹介
水野 治久 先生(大阪教育大学 副学長・総合教育系 教授)
助けを求める心理を研究してきました。学校心理学を研究しながら、学校での子どもたちの支援をしてきました。

阿部 学 先生(敬愛大学 教育学部 准教授)
問題はシリアスでも、前向きな気持ちで学べるような教材づくりに取り組んでいます。本教材を見て、たくさんの意見を交わしてもらえたら嬉しいです。

永井 智 先生(立正大学 心理学部臨床心理学科 教授)
児童生徒同士の助け合いを育むことについて研究をしてきました。どうしたら、仲間同士で助けたり、助けを求めたりできるのかについて、学校現場の皆様たちと考えていきたいと思っています。

四辻 伸吾 先生(大阪教育大学 総合教育系 特任准教授)
いじめ・不登校等、子どもたちが抱える「つらさ」についての研究をしてきました。子どものWell-beingに向けて今後も考えていきたいです。

作者紹介
TAKA(イラストレーター)
児童・中高生向け書籍や教材をはじめ様々な媒体でカッコかわいく元気なキャラクターで物語に惹きこむイラストをお届けしています!
主なさし絵の作品では
『七不思議神社』シリーズ(あかね書房)
『ツクルとひみつの改造ボット』 シリーズ(岩崎書店)
2024年度版「中学生の基礎英語レベル2」(NHK出版)
などがある。

作者コメント

宿題が難しくてこまったとき
まわりからの期待にこたえないといけない、、、という気持ちでプレッシャーにおしつぶされそうで自分の焦りや苦しさを誰かに気づいてほしいVSそんな気持ちに気づかれたくないプライドがせめぎあってるような状況、意外と多くの人が経験しているのではないでしょうか。
自分の気持ちを誰かに相談することはなかなかに難しいことかもしれません。
今回はそんな主人公のハルトのストーリーです。
もし同じように悩んでいるならこの授業を通してみんなで意見を共有してみてはいかがでしょうか。

友だちが何も言ってくれないとき
いつも一緒にいる気の合う友達がある日突然よそよそしくなった経験が自分にもあったな、と思いだしながら制作しました。
理由をきくことも誰かに相談することもできずにもやもやした気持ちのまま時間だけが過ぎてしまいました。
この物語と同じような境遇でいま誰かに相談できずにひとりでかかえこんでいる子どもたちにそして友達に同じことをしてしまっている子どもたちに授業を通して悩みを考え相手の気持ちに気づいてあげれるようになる
そんな手助けになれればと思います。
